きっかけは素潜りの時
素潜りの師匠が連れていってくれる漁のポイントは、カヤックでないと行けない入り江。
陸からも来れなければ、岸沿いは浅すぎて漁船でも来れないので、超穴場スポットです。
超穴場スポットであるがゆえに、トイレなんてもちろんありません。
用を足すときは適当な大き目の岩を探して、そこに隠れるしかないのですが、漁船が近づいてこようものなら見えてしまいます。
毎回漁船の位置を確認して、大急ぎで用を足していました。
「ポンチョがあれば便利」と師匠に聞きましたが、「このためだけにわざわざ買うのもな・・・」と思い、シーズン中はずっと岩場に隠れてやり過ごしました。
師匠の旅の話からアイデアを得る
漁の帰りの車中、師匠が世界を旅していた時の話を聞きました。
その中で、モンゴルの草原に住む遊牧民の女性の話が出たんです。
師匠が遊牧民の方たちと談笑していると、その中の1人の女性が立ち上がってちょっと離れたところに行ったそうです。
しばらくその場にしゃがんで、また戻ってきました。
師匠が何をしていたのか尋ねると、用を足していたと。
目隠しになるものがないモンゴルの大平原では、ふんわりしたスカートを目隠し代わりに用を足すそうです。
その話を聞いて、「山でも海でも、もよおしてしまった時に使えるスカートを作ろう!」と思い立ちました。
インスタでみた遭難者情報
数日後、インスタを見ていたら遭難者の情報を募るポストが目に入りました。
私も数回行ったことがある山で、決して迷うようなところではありません。
ましてグループ登山であればなおさら。
遭難された方は女性で、用を足すためにルートから外れて、戻れなくなったのでは?という推測もありました。
用を足すときはズボンを降ろして、しゃがまざるを得ない女性。
不特定多数の人が通る山であれば、できるだけ見えないようにと奥に奥に行ってしまいます。
奥に行きすぎてしまって、来た道が分からなくなることも想定できます。
そのような遭難事故はなくしたいと思い、山スカートの開発に踏み切りました。
マルチに使える山スカートが誕生
せっかく買っていただくなら、山で用を足す万が一の時だけでなく、小屋での着替えや下山後の服としても使ってほしいという想いで、使いやすい色を選定しました。
低山ハイクなら十分家から履いて山を登れる、軽さと足さばきの良さです。
山歩きに、普段着にも使っていただきたいスカートに仕上がりました。
マルチに使えるスカートですが、もし山でもよおしてしまった時に、このスカートの存在を思い出してほしいです。
この山スカートを使えばあまり奥まで行かずとも、用が足せます。
登山を楽しむすべての方に、安全に山から帰ってほしいという想いをこめて開発しました。